トップ≫西東京のコラム
分譲地には新旧様々な家が建っている。
注文住宅、建売住宅、中古をリノベーションした家など。
両親が住む実家が西東京にある私の友人も、時間があればモデルルームやオープンハウスを見物に行く常連だった。
彼女としては実家に近い西東京に落ち着きたい。
しかし帯に短しで、決めかねているようだった。
「建売住宅は価格が魅力的だけれど、間取りや造りがいじれないのよね」友人とお茶したその日も、彼女の愚痴は止まらなかった。
「注文住宅は自由度が高いけど、価格も比例して高くなるのよ」家を建てるのも一苦労だ。
「中古には、新築住宅にあるような優遇措置がないし」アイスラテをすする彼女。
「悩ましいね」ようやく、それだけ言う私。
今はまだ元気だから良いけれど、年を取りつつある両親が心配なのだと彼女は言う。
その気持ちはよく分かるつもりだ。
私もそれで実家に戻ったのだから。
転職先を探したり、引越したりと結構大変だったけれど。
「実家に帰るという選択肢はないの?」ふと呟いた言葉に、彼女がマジマジと私の顔を見詰める。
同じ西東京で探すなら、それもアリかと思ったのだ。
「うーん…」ラテが吸い込まれていく。
家の両親は、心配はしたものの私の決断を喜んでくれた。
彼女の家はどうなのだろう。
「痛いところを突いてくるねえ」ポツリと彼女が呟いた。
「それもそうだよね」。
沈黙に包まれる彼女。
その日は、それで別れた私たちだった。
数日後、私の携帯が鳴った。
仕事中で出られなかったのだが、メールが届いていた。
「西東京の実家に戻ることに決めました。
後で連絡するね!」その後、再度メールが届いていた。
「住宅資金はリフォームのために使う予定。
あとプチ旅行もね」良かった、1番良い結果になったと思う。
パチンと携帯を閉じる。
何故か笑みが浮かんでしまう。
仕事が終わったら、彼女に電話しなければ!