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西東京に住もう!part53

とても心配で私は駆け出しそうだった。
初めて家を空けて2日。
1日以上の出張はないということだったのに、担当者が風邪で寝込み、ピンチヒッターが回ってきたのだった。
出張そのものは構わない、ただ家には小さな居候がいるのだ。
オートロックの玄関をくぐり抜け、部屋の鍵を開ける。
食事などの世話は便利屋さんにお願いしてきたので、心配はしていない。
心配なのは、長時間一人にしたこと。
今までこんなことはなかったのだから、どんなに不安なことだろう。
一人ぼっちで、あの子はどんな夜を過ごしたのだろう。
ドアを開け、あの子がいるリビングに入る。
ケージの中から、キョトンと私を見詰めるあの子の丸い瞳。
「くるみ、元気だった?!」ケージに近寄る私、気が付いてくるみが小さく声を上げる。
良かった、忘れられてない!カリカリも水もキチンと出してくれたようだ。
出張が決まってから、くるみをどうしようか悩みに悩んだものだった。
1日位なら、何とかなる。
でも2日となると話は別だ。
ペットホテルに預けようか、ペットシッターを頼もうか。
でも全く知らない場所に連れて行ったら、余計に不安になるのじゃないだろうか。
ペットシッターに依頼しようとして色々検索(西東京・ペットシッターとか)していて見つけたのが、西東京の便利屋さんだったのだ。
ケージからくるみを出して、ご褒美の液状おやつを舐めさせる。
くるみの柔らかな毛皮に掌を滑らせていた時、テーブルの上のメモに気が付いた。
「お帰りなさい。
くるみちゃんは、2日間とても元気でした。
ただずっとケージの中ではストレスが溜まりそうだと思いましたので、トイレ掃除をしている間はリードを付けて部屋の中で遊ばせてあげました」。
そう言えば、彼女も猫を飼っていると言っていたっけ。
くるみは満足して、ソファの上で毛づくろいしている。
きっと、彼女に遊んでもらったに違いない。
わがままなくるみが文句も言わずに彼女を帰したのだから、きっと彼女が西東京の便利屋のスタッフとは気付かなかったみたいだ。